top of page
  • 執筆者の写真伊﨑 一夫

No.4【2020-11月】かしこい人に

かしこくなってほしい。だれもが願います。ところで「かしこさ」とは何でしょうか。いろいろなことをよく知っていることでしょうか。

 確かに知識の量は「かしこさ」を示します。しかし同時に「知っているだけでは…」という声も聞こえてきます。知識の量だけではこれからの時代の変化には対応できません。AIに勝つことはできません。知識の量に加えて、その使い方を知っていてこその「かしこさ」です。

 「かしこさ」は、持っている知識を柔軟に組み合わせて、物事を判断し、効果的に表現できる力のことです。「かしこさ」が必要な情報と情報とを結びつけ、新たな情報を生み出します。「考える力」「思考力」が「かしこさ」の本質です。

 情報と情報の関連のさせ方には個性も反映されます。今年の東京パラリンピックでの活躍を目ざす水泳選手の一ノ瀬メイさんは、高校三年生の時、全国高校英語スピーチコンテストで優勝しました。右腕が短いという自身の障害と自分が泳ぎ続ける理由とを結びつけ、「社会が障害者を作るなら、その社会が障害者をなくすことだってできる」という強烈なメッセージを発信しました。

 絵本作家のヨシタケシンスケさんは、小さい子ども向けに「大きくなれば全部わかる」と書くのではなく、「いや、わかんなくていい、大人にだってわかんないことはあるんだから」という励ましの言葉を届けます。「夢が見つからなければ、消去法で決めたり、ゆっくり探してもいいんじゃないか」という考え方に「かしこさ」が光ります。

 一ノ瀬さんやヨシタケさんのように独自性のある「自分の考え」だけが「かしこさ」ではありません。その人だけのオリジナルでなくても、確かな根拠に基づき、自信を持って発信された「自分の考え」なら、それも立派な「かしこさ」です。

 結論が当たり前、ありきたりであっても、納得・実感・本音のある「自分の考え」であれば「かしこさ」にあふれています。

最新記事

すべて表示

No.3【2020-09月】具体的にほめる

〈ほめて育てる〉よく言われることです。「いいね」「すごいね」「偉いね」といった「ほめ言葉」は明るい子どもを育てます。しかし「それが難しくてとても……」という声も聞こえてきます。 〈ほめて育てる〉ですから、「ほめれば育つ」がその前提です。しかし時には厳しく「注意する」ことも必要です。世の中には「ほめる達人検定」もあれば「叱り方検定」もあります。 〈ほめて育てる〉ですが、「ほめなければ…」となってしま

No.2【2018-03月】チャンスの神様は誰にでも……−IKKOの「どんだけ〜」の誕生秘話−

平成30年1月23日放送の『チマタの噺』(テレビ東京系)での、タレントのIKKO(56)が語った「どんだけ〜」の誕生秘話は興味深かった。「どんだけ〜」は、IKKOの代名詞ともいえるフレーズ、2007年の流行語大賞にもノミネートされた。関西にある大学の国文科の授業でとりあげられたり(2009年、2010年)、教材に掲載されたりしたそうである。 IKKOは、本名である豊田一幸の音読みに由来する。職業と

No.1【2017-12月】「私、失敗しないので」

2017秋ドラマ「ドクターX 第5シリーズ-外科医・大門未知子」が、2017年12月に終了しました。医療ドラマの中ではかなりコメディ色が強く、そのリアルさとリアリティの差に驚くことも多くありますが、素朴に楽しめるドラマでしょう。最終回第10話(2017年12月14日放送)の視聴率は、25.3%でした。 「絶対に失敗しない」フリーランス外科医・大門未知子が、派遣先の大学病院の覇権争いに巻き込まれつつ

bottom of page